弁護士による遺言執行
遺言執行とは?
亡くなった方(被相続人)が遺言書を残していた場合に、遺言の内容を実現するため、誰かが登記の移転や物の引渡し等の行為を行わなければならないことがあります。
これらの遺言内容を実現するために、一定の法律行為や事実行為を行うことを「遺言執行」といい、それを執行する人を「遺言執行者」といいます。
多くの場合、遺言執行は相続人自身が行ってもよく、遺言執行者の選任が不可欠なわけではありませんが、相続財産が膨大である場合や相続人や受遺者間でトラブルが予想される場合等スムーズな遺言執行が困難な事情があるときなどに遺言執行者が利用されます。
遺言執行者の選任の方法
被相続人(遺言者)が、遺言書の中で遺言執行者を定めておくことができます。ただし、指定された者は、自分が遺言執行者になりたくない場合は、辞退することもできます。
遺言書の中で指定されていない場合や、遺言書に記載された遺言執行者が遺言執行できない場合でも、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に申立てをすることにより、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうこともできます。 (参考サイト:裁判所「遺言執行者の選任」)
また、一定の場合には、遺言執行者を選任しなければならない場合もあります(相続人の廃除、遺言による認知)。
遺言執行者として特定の弁護士を、遺言の中で指定することもできます。弁護士に遺言書の作成を相談し、それと同時に遺言執行者に指定する方法もあります。
遺言執行者を選任するメリット
被相続人(遺言者)にとってのメリット
被相続人が遺言書を残していたとしても、相続人全員が合意すれば遺言書と異なった内容の分割をすることもできるので、相続人が遺言書の内容どおりに遺産を分けるとは限りません。
また、遺言書の内容が特定の相続人にとって不利な内容であった場合に、その相続人が、遺言書を無断で破棄してしまうこともあるかもしれません。法律上、遺言書を破棄した者は相続人にはなれなくなるのですが(民法891条5号)、他の相続人が遺言書の存在を知らなければ、破棄の事実にも気付かないという場合もあり得ます。
遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、執行者が遺言書の内容のとおりに遺産を分けてくれる可能性が高くなるので、被相続人にとっては安心といえます。
相続人にとってのメリット
遺言書の内容のとおりに遺産を分けるためには、不動産の名義変更、預金の解約、株式の名義変更など、非常に手間がかかる場合もあります。遺言執行者がいれば、遺言執行者が面倒な手続を全て行ってくれるので、相続人にとって楽という面もあります。
遺言執行を弁護士などの専門家に依頼するメリット
法律の専門家である弁護士に、遺言執行者になってもらったり、遺言執行者に選任された方の代理人として依頼することも可能です。
1.手間の軽減
遺産の分割には、非常に手間がかかる場合もあります。素人の方にとっては、必要書類を集めるだけでもご負担に思われるかもしれません。また、役所や金融機関に行かなければならない場合もあり、平日お仕事をされている方にとっては、相当な負担となるでしょう。
遺言執行を弁護士などの専門家に依頼すれば、面倒な手続きを全て任せることができるという点がメリットの一つです。
2.紛争の回避
また、相続人の1人や利害関係人の方が遺言執行者に選任されていた場合に、他の相続人から文句を言われたり、「不正をしているのではないか」と疑いをかけられてしまったりすることもあります。相続は「争続」とも言われることがあるように、相続人同士の利害や長年の恨み辛みがからんで、感情的にもめてしまうことも多々あります。
中立の立場の専門家が遺言執行者になった方が、感情的な対立を回避しやすいという点がメリットの2つめです。
3.手数料
被相続人が資産を預けていた信託銀行が遺言執行者となる場合もありますが、一般的に信託銀行の遺言執行の手数料は、弁護士などの手数料よりも高いと言われています。
遺言執行のご依頼や遺言執行者選任のご相談なら、相続案件の経験が豊富な上大岡法律事務所にお任せください。
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