(相続)遺言書がある場合において遺留分よりも多い金額を獲得した事例
依頼者属性 40代男性 会社員(横須賀市在住)
相手方属性 依頼者の姉と弟
主な争点 母親の遺言書の有効性、遺留分の金額
当事務所に依頼された経緯
母親が亡くなり、母の遺産をすべて長女と次男(依頼者の姉と弟)に相続させる旨の自筆の遺言書が残されていた。父親は既に他界しており、相続人は、依頼者と姉と弟の3人のみ。依頼者本人が相手方と話しても、相手方の態度がはっきりしなかったとのことで、当弁護士事務所が依頼を受けた。
当事務所の対応
(1)まずは依頼者との面談で、意思・気持ちを確認した。依頼者としては、母親がそのような遺言(自分の相続分について何も書かれていない遺言)を残していたこと自体にショックを受けていた。
他方で、依頼者は姉と弟と積極的にもめたいわけではなく、なるべく穏便な解決を希望していた。
(2)また、母親が遺言書を書いた時期の母親の状態(認知症でなかったか)、母親がそのような遺言書を残す動機はあったのか(依頼者と仲が悪かったか等)を確認した。
母親は依頼者とは仲は悪くはなかったものの、他方で、近くに住んでいる長女と次男を頼りにしている傾向があり、また認知症の症状もなかったとのことなので、遺言書の無効を立証することは難しいと判断した。
(3)弁護士が依頼者の代理人として相手方と連絡をとり、依頼者の率直な気持ちを伝えた。
また、弁護士の意見として、「依頼者は遺言書の内容に納得していないので、遺留分のみであれば示談は難しいかもしれないが、依頼者の気持ちを酌んで遺留分よりも多くしてくれれば、法定相続分よりは少なくても示談は可能」と伝えた。
(4)また、相手方には弁護士がついていなかったので、主な遺産である不動産の査定書は当事務所で用意することとした。当事務所が懇意にしている不動産業者に依頼をした。
結果
遺留分と法定相続分の中間の金額を依頼者が受け取ることで遺産分割協議が成立した。依頼者は、短期で解決ができたこと、依頼者の気持ちに配慮した結果となったことに喜んでいた。
弁護士の一言
今回の事例は、遺言書の無効を主張しても認められる事案ではなく、こちらが強気の交渉をしていれば、かえってこじれていたかもしれない。
弁護士が依頼者の気持ちを第一に考えるとともに、相手の立場も考慮した金額を提案したことが早期解決につながったと思われる。
弁護士にとっては難しい交渉の案件ではなかったが、依頼者に弁護士がついたことで相手の態度も変わり、早期解決に至ったという面もある。
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